【“AIを買う”前に、“人を育てる”】研修費の75%が返ってくる助成金が2027年3月で消える──中小企業がラストイヤーに動く5つの実務

AI・DX 2026年8月5日 / TANAKAMASATO

「AIツールを入れたいけど、うちみたいな小さな会社に補助金なんて下りないでしょ」
「どうせ書類が面倒で、もらえる頃には制度が終わってる」

そう思って動かない経営者ほど、実は目の前のお金を取りこぼしています。2026年夏、中小企業が使えるAI関連の公的支援は「モノ(ツール購入)」と「ヒト(人材育成)」の2系統で、いずれも拡充が進んでいます。ChatGPTやGeminiを現場で回すには、ソフトを買うだけでなく「使える社員を育てる」ことが不可欠。そのヒトへの投資に研修費の最大75%が返ってくる助成金があり、しかも制度は2027年3月末で終了予定です。今回は「モノとヒト、どちらに、どの順番で投資するか」を実務目線で整理します。

1. まず整理:AI投資の公的支援は「モノ」と「ヒト」で分かれる

結論から言うと、AI投資を支える国の制度は大きく2つに分かれます。ソフトウェアやAIツールの導入費を補助する「モノ」系(デジタル化・AI導入補助金2026)と、社員の研修費・受講中の賃金を助成する「ヒト」系(人材開発支援助成)です。

多くの経営者は前者しか知りません。しかしAIは「入れたら終わり」ではなく、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityといったツールを実務で使いこなせる人がいて初めて成果が出ます。ツールだけ買って社員が使えず“塩漬け”になる失敗を避けるには、モノとヒトの両輪で設計するのが実務的です。

2. モノに投資:デジタル化・AI導入補助金2026(第6次締切は8月25日)

2026年に「IT導入補助金」から名称変更された制度で、中小企業・小規模事業者がAIを含むITツール(ソフト・サービス等)を導入する費用を補助します。通常枠の補助率は原則1/2以内(要件により2/3以内)、補助上限は最大450万円が一例です。

締切は通年でおおむね1〜2か月に1回。直近では第6次締切が8月25日に設定されています。予算上限に達した枠から早期終了する可能性があるため、導入ツールが決まり次第、IT導入支援事業者と早めに準備を進めるのが定石です。会計・請求ソフト、予約管理、AIチャットボットなど「業務で毎日回すもの」を対象にすると費用対効果が読みやすくなります。

3. ヒトに投資:人材開発支援助成金リスキリングコース(研修費75%・2027年3月末で終了)

見落とされがちなのが「ヒト」系の助成金です。人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業やDX化に伴う研修であれば、外部講師への謝金やeラーニング受講料など直接経費の75%(中小企業)を助成します。さらに、社員が業務を離れて学ぶ時間に対し、1時間あたり1,000円の賃金助成も受けられます(2025年4月に増額)。

つまり「社員にAI活用研修を受けさせる費用」も対象になり得ます。ChatGPTやGeminiを使った文書作成・議事録要約・営業資料づくりの社内研修を、自己負担を大きく抑えて実施できる可能性があります。ツール導入補助(モノ)とセットで使えば、「入れて・使える」状態まで一気に持っていけます。

4. 【今年の変更点】認定支援機関の確認が必須に──“駆け込み”が難しくなった理由

2026年(令和8年度)の制度改正で押さえておくべき変更が2点あります。ひとつは、リスキリングコースの対象訓練に「おおむの3年以内の人事配置計画に基づく訓練」が加わり、活用の幅が広がったこと。もうひとつは、申請にあたり認定支援機関の確認が必要になった点です。

後者は実務上のインパクトが大きく、思い立ってすぐ申請、という進め方が難しくなりました。計画づくりと事前確認に時間がかかるため、「使いたい時期の逆算」で早めに動く必要があります。加えて本コースは令和8年度末(2027年3月末)までの期間限定。2026年度はいわば“ラストイヤー”であり、来期に持ち越すほど選択肢が狭まります。

5. 中小企業の実務判断:どちらを、どの順番で使うか

結論は「まずヒト、次にモノ」でも「同時並行」でも構いませんが、期限が先に来るものから逆算するのが鉄則です。締切が近いデジタル化・AI導入補助金(第6次8月25日)と、制度終了が迫るリスキリング助成金(2027年3月末)の両にらみで動きましょう。下表で違いを整理します。

項目 デジタル化・AI導入補助金2026(モノ) 人材開発支援助成金 リスキリングコース(ヒト)
支援の対象 AIを含むITツール(ソフト・サービス等)の導入費 DX・新規事業に伴う社員研修の費用・受講中の賃金
補助率/助成率 原則1/2以内(要件により2/3以内) 研修費の75%(中小企業)+賃金助成1時間1,000円
上限・単価の目安 最大450万円(枠・類型による) 経費・賃金の各上限あり(訓練内容による)
直近の締切・期限 第6次締切 8月25日(以降も継続予定) 令和8年度末(2027年3月末)で終了予定
今年の注意点 予算上限で枠が早期終了する場合あり 申請に認定支援機関の確認が必要に(早めの準備が必須)

まとめ:AI投資は「ツールを買う補助金」と「人を育てる助成金」の両輪で設計する。特にリスキリング助成金は2027年3月末で終了予定、かつ認定支援機関の確認に時間がかかるため、今期中の着手が実質のラストチャンスです。

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出典

※補助率・上限額・締切・助成率などの金額や要件は制度改正で変わります。申請前に必ず各制度の公式最新版(公募要領・厚生労働省サイト)でご確認ください。