【“業務自動化=システム開発”は、もう遠回り】Google・リコー・NotePMが10月8日に動いた“任せる・つなぐ・選ぶ”──IT担当がいない中小企業が真似できる3つの型

AI・DX 2026年10月13日 / TANAKAMASATO

「業務の自動化って、結局システム会社に頼んで何百万円もかけて作るものでしょ」
「うちみたいな規模だと、自動化はまだ早い」

こう考えている経営者の方は少なくありません。しかし2026年10月7日〜9日の3日間で、その前提を崩す発表が国内外から相次ぎました。Googleは「目標を渡すと仕事を進めるAI」を発表し、国内ではChatGPT・Claude・Gemini・Copilotから社内マニュアルを直接読ませる機能や、中小企業向けのノーコードAI基盤の構築代行、製造業向けの業務アプリ30種類のパッケージが出ています。

共通しているのは、自動化が「ゼロから作るもの」から「任せる・つなぐ・選ぶもの」に変わってきていることです。本記事では、この3日間の発表を中小企業が真似できる3つの型に整理します。

1. 型①「任せる」:Googleが“目標を渡すだけ”のGemini agentを発表

結論:AIへの頼み方が「手順の指示」から「目標の指示」に変わり始めています。

Google Cloudは10月8日、イベント「Gemini at Work 2026」でGemini agentを発表しました。質問への回答、資料作成、画像やメディアの作成、コードの作成・実行までを1つの入口で引き受ける「仕事用の汎用エージェント」という位置づけです。発表では、細かな手順ではなく「目標」を渡して仕事を進めさせられる点が強調されています。

  • 連携先:Gmail・ドライブ・ドキュメント・スプレッドシート・カレンダーなどのGoogle Workspaceに加え、Slack・Microsoft 365・Salesforceなど
  • モデルの使い分け:仕事ごとに適したモデルを選び、GeminiのほかClaudeのモデルも使う。コスト管理機能を内蔵
  • 管理面:エージェントごとにIDを持ち、操作は監査ログに記録される
  • 導入事例:同発表では、Nokiaが自動トラブルシューティングで問題解決時間を最大80%短縮したと紹介

実務上の考え方:中小企業がいきなり大企業向けプランを契約する必要はありません。ただ、今後のAI活用は「プロンプトを毎回書く」から「定型業務の目標と完了条件を渡す」へ移っていきます。まずは「毎週繰り返している仕事」を1つ選び、ゴールと完了条件を文章で書き出しておくことが、次の自動化の下準備になります。

2. 型②「つなぐ」:NotePMがChatGPT・Claude・Gemini・Copilotから社内ナレッジを使える機能を追加

結論:普段使っているAIに、社内の手順書・議事録を“つなぐだけ”で自動化が始められます。

社内Wiki・マニュアル作成ツール「NotePM」を提供するプロジェクト・モードは10月8日、MCP(AIと外部ツールをつなぐ共通規格)に対応した「AIコネクタ機能」の提供を始めました。

  • 対応AI:Claude、ChatGPT、Google Gemini、Microsoft Copilot(その他のMCP対応ツールも設定で接続可)
  • できること:AIがNotePM内のページを検索して回答する/会話からページを作成・更新する(例:打ち合わせ内容を議事録としてまとめる)
  • 安全面:読み込み・書き込みの可否を項目ごとに設定でき、本人が見られないページはAIからも見えない。AI経由の操作ログを過去180日分確認できる
  • 費用:全プランで追加費用なし

実務上の考え方:「社員がAIに聞いても、うちのルールを知らないから使えない」という悩みは、社内文書を1か所にまとめ、AIとつなぐことで解消に近づきます。逆に言えば、手順書がバラバラ・古いままだと、AIも古い答えを返します。自動化の前に「最新の手順書を1か所に置く」ことが先です。

3. 型③「選ぶ・作ってもらう」:リコージャパンのDify構築代行と、日立系の製造業向けアプリ30種

結論:自社でゼロから作らず、「型のあるアプリを選ぶ」「基盤づくりは任せる」ことで、IT担当がいなくても始められます。

リコージャパンは10月8日、ノーコード・ローコードでAIアプリや業務フローを作れる基盤「Dify」について、中堅・中小企業や部門向けライセンス(Dify Essential/Standard)の利用企業を対象に環境構築・導入サービスを始めました。利用企業が契約するAWSまたはAzure上に、Difyの構築から利用開始の設定までを一括で行います。リコーグループでは、2026年7月時点でグループ内に約10,200件のDifyアプリが作られているとしています。

また日立ソリューションズ・クリエイトは、製造業のオフィス業務向けに生成AIアプリ30種類を「AIプラス 生成AIソリューション」に追加すると発表しました(10月7日発表)。再発防止策の提案、文書の新旧比較、スキャンPDFのテキスト化、用語集・FAQの作成など、自社の業務で使ってきたアプリが中心です。

実務上の考え方:中小企業にとって一番の壁は「何を作ればいいか」と「誰が環境を作るか」です。他社で使われてきた業務アプリの“型”から選び、環境構築は外部に任せるという分担にすると、社内では「どの業務に当てるか」の判断に集中できます。

4. 3つの型を比較:自社はどこから始めるべきか

型 今回の発表例 向いている会社 最初の一歩
①任せる Google「Gemini agent」 Google Workspaceなどクラウド業務が中心の会社 繰り返し業務を1つ選び、ゴールと完了条件を書き出す
②つなぐ NotePM「AIコネクタ機能」 手順書・議事録が多く、問い合わせ対応に時間を取られる会社 最新の手順書を1か所に集め、閲覧権限を整理する
③選ぶ・作ってもらう リコージャパン「Dify構築・導入サービス」/日立ソリューションズ・クリエイト「製造業向けアプリ30種」 IT担当が不在で、定型の書類作業が多い会社 時間のかかる書類業務を3つ挙げ、既製アプリで置き換えられるか確認する

どの型でも共通するのは、「権限」と「ログ」が最初から用意されている点です。Gemini agentはエージェントごとのIDと監査ログ、NotePMは項目ごとの読み書き設定と180日分の操作ログを備えています。導入時は「AIに何を読ませ、何を書かせるか」を先に決めることが、事故を防ぐ一番の近道です。

まとめ:自動化は「作る」より先に「どの型で始めるか」を決める

経営者が今週やることは1つです。社内で「毎週繰り返している作業」を3つ書き出し、①任せる・②つなぐ・③選ぶのどれで始めるかを決めてください。それだけで、ベンダーへの相談や補助金の検討が具体的になります。

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